Haruomi Hosono (RBMA Tokyo 2014 Lecture)を観て。

唐突ですが、自身が尊敬するミュージシャンの方はあまり、音楽議論的なことを直接的に話さない気がします。自分なりにそれは何故か考えてみたのですが、一つには文化芸術一般というものは、必ず時代背景が作品に反映されていることがあると思います。そして更に多くの方が、作品を相対的に考えたいためか、10年単位で振り返って、自分の作品を自分自身がやっと理解できるといった発言をしています。その為、時間軸としての今を「こうあるべき」と言うのは、その後の音楽制作に多大な制御を与えて息苦しくなってしまわないように、常に自由にあるべきと考えているからではないかと思いました。
今日ご紹介する動画で細野晴臣さんも「自由が一番」と仰っています。

話は変わりますが、私は18歳で東京に単身上京(おのぼりさん)してから、常に非常に音楽に詳しい方が身近にいてくださしました。ですので、頭でっかちになり、また、凄く自分のやる音楽に対して、生意気でわがままでした。怖いもの知らずってやつです。

その後、子供を産み、シンガーソングライターとなれた頃には、今度はとても臆病になっていました。それは、当時90年代後半の音楽業界は才能の渦の中。天才ばかりといった感じ。そんなところで、音大を出たわけでもなく、アイドルあがりのシンガーソングライターという認識だった自分は、ビクビクしていたし、スペースシャワーの番組に出させて頂き、なんか物凄くスター扱いしてもらっても、どこか他人事に思えました。レコーディングにおいても、普通に受け入れられやすい音楽を作る気が微塵もなかったから、変人と思われていたようです。大人になるってもっと簡単なことだと思っていたのかもしれません。なかなか大人になれない自分に常に苛立っていました。

レコード会社との5年以降の契約を更新せず、その後普通の社会人を経験したいと思い、様々な会社で一般の働く女性と知り合い、仕事以外でも交流を持ち、17歳から芸能界にいた私にとってそれは、学生時代に戻ったような、一人の人間として、ある種偏ってないことを確認するような作業でした。そんな日々の中でバンドmonejiの活動は週1回、必ずやっていました。実験的なレコーディングや、初体験のバンマス。メンバーは男の子ばかりだったので、決め事を実践するための指示はすべて私が仕切っていました。それはちょっと快感でしたよ^^

で、まぁ、結局のところ、こうやって文字を羅列するよりかは、音源を聴いていただければ全てが合致すると思います。要するに、私は人と関わるのが極端に苦手です。嫌いではなく、苦手なのです。本音を話せば話すほど、相手を傷つけてしまう。それは今も変わらないんです。
だから、本音は全て音楽に封印することにしました。実際に例えば生涯の伴侶であったりするような、他人との生活は私にとってというより、相手にとって、非常に負担を与えてしまう。何故なら私が音楽を中心に生きているから、という今のところの結論に至っているのです。

振り返ると、10年単位で音楽も方向を変えていることに気づきます。作曲と編曲をするときに思うのは、時代がどんな音を欲しがっているかという点。でもこれは実際にマーケティングしているわけではないから、自分が感じるこの時代に欲しい音ってことになるんでしょうけど。
今回の新作はそういうことを一番意識したんじゃないかな?
テレビ、ラジオで話題の新作はどれも同じような音ばかり。森さんとも話しているのですが、この曲バンドでやる意味って何?とか、制作にお金をかけられない新人さんの曲も音源が似たり寄ったりのシンセ音だから、どうしたって似てくるし、ボーカルもおんなじような声。これはあくまで私個人の意見だからはっきり言いますが、これは他にない音作りの作業はさして難しいことではないという意味で、更に今こそ、これまで培ったメロディセンスを叩きつけるチャンスだとも思っています。

それが新作の言葉的な全貌です。

シングル含めて全9曲。
全て今年に入って作った新作です。
今日ご紹介する動画で、細野さんも仰ってますが、これまでは5年くらいのスパンで新作を作ってきましたが、これからは年に3回くらい、つまり常に曲を作っていこうと考えています。老いに対する抗いです。抗って抗って最後にはどんな曲にたどり着くのか楽しみです。

ここ数年恋愛の歌に余り興味を持って作っていなかったのですが、最近どうにも音楽にはエロスという考えが強まってきています。
歌うという行為自体がエロスだと思うからです。コールドプレイのクリス・マーティンの歌いっぷりはとてもセクシーです。

話は脱線しましたが、是非この動画を観てみてください。
音楽に対する考え方が少し変わるかもしれませんよ。
私は、やっと自分が音楽をやり続けている理由をこうやって文章にすることが出来るようになってきたこと自体、凄く大人になってきたとおもう所存です。


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